本尊 阿弥陀如来像

阿弥陀如来 -この仏さま無しでは大乗仏教・日本仏教は語れません-

浄土系のご本尊は「阿弥陀如来」です。

浄土宗では、阿弥陀如来の本願力にのみ帰依する他力本願が中心教義です。誤解のないよう説明すると、「他力」というのは「他人の力」ではなく「仏の力」という意味。「他力本願」とは、思い通りにならない人生に対して、「俺が俺が」という自己中心的な考えを捨てて仏の働きにまかせて生きることを言いました。

末法に生きる衆生は、自らの力ではどんな善行も遂げられないため、「他力」によってのみ救済されるとも考えられたのです。他力本願は、特別な修行をした者だけが成仏できるとされたそれまでの仏教に、新しい概念をもたらしました。

圓應寺のご本尊は、仏師安阿弥(快慶の号)の作といわれ、黒田如水の寄進と伝えられる「本尊阿弥陀如来像」でした。しかし、昭和20年6月19日の福岡大空襲空襲において焼失しました。現存する阿弥陀如来像は仏師梅津紅潮の戦後の作です。

こちらは奈良東大寺の快慶作阿弥陀如来立像です。焼失した戦前の圓應寺のご本尊はおそらくこのようなお姿であったと考えられます。

種子(種字)はキリーク。

「仏」はもちろん,「ほとけ・如来」のことです。「アミダ」は原語(サンスクリット語)のアミターユス,アミターバの音を写したもので,「無量寿」「無量光」と音漢訳し,それぞれ「無量の寿命」「無限の光」を意味しています。両方の意味を含めて「アミター」「アミダ」となりました。
 「ナムアミダブツ」という言葉は「阿弥陀如来に帰依します」という意味だったのです。無量寿如来ともいいます。

極楽にいる阿弥陀如来

 極楽に住んでいるのが阿弥陀如来です。
 極楽はたくさんある浄土(ほとけや菩薩の住む浄らかな国土。仏土や仏国土ともいいます)の一つで西のはるか彼方(西方十万億土)にあるといわれています。「往生」のことを専門的に「超生浄土」といいますが、「西方十万億(十兆)の仏の浄土を超えて、はるか極楽浄土に生をうける」という意味です。

阿弥陀如来は、命あるものすべてを救う四十八願(しじゅうはちがん)という誓いを立て、「南無阿弥陀仏」と唱えたあらゆる人々の臨終には西方浄土から迎えにきて、必ず極楽浄土へ往生させてくれることを約束しました。

阿弥陀三尊

 釈迦や薬師如来と同様に、阿弥陀如来にも三尊形式があります。浄土宗では観音菩薩勢至菩薩と並ぶ姿が多く、この阿弥陀三尊が基本です。阿弥陀三尊の場合、如来の左側(向かって右側)には観音菩薩が,如来の右側(向かって左側)には勢至菩薩が控えています。

お念仏「ナムアミダブツ」と申すだけで臨終には観音勢至菩薩をはじめさらに二十五菩薩を従え、雲に乗って往生者を迎えにやってくるといわれています。日本では極楽信仰が盛んで,いつからか浄土といえば極楽を意味するようになりました。

像容 -阿弥陀如来に特有の印-

 釈迦如来と同様に、身に付ける装飾品は一切ありません。肉髻や白毫などの特徴も釈迦如来と同じです。

   まず注目してもらいたいのが、指で輪を作っていることです。ほとんどすべての阿弥陀像の両手の指が輪になっています。ですから阿弥陀如来を見分けるには、まず輪を作っているかどうかを確認してください。
 両手の指で輪を作っているといっても実は九種類もあります。信仰心や行為の善悪の違いによって極楽への往生が九種類(九品)あるためです。つまり阿弥陀如来が結んでいる印は、極楽へ迎える方法の違いを示しているのです。このような九種類の印をまとめて九品印といい、それぞれの印を結んだ九体の阿弥陀像を九品仏といいます。

 阿弥陀如来には九種類の印があるわけですが、わたしたちが普通よく目にする阿弥陀如来像は坐像の場合は禅定印が多く、立像の場合は来迎印のみなのです。立像が来迎印であることを 立撮即行 といい、ただちに人を救おうとするお姿を表したものです。

上品の印は親指と人差し指で輪を作っています。とくに座像は上品上生印を弥陀定印(禅定印)と、立像は上品下生印を来迎印といいます。圓應寺のご本尊は立像ですので「来迎印」です。

そのほかの特徴

 阿弥陀如来像のもっとも大きな特徴は印にありますが、阿弥陀の語源であるサンスクリット語の「アミターバ」つまり「無量の光」を具現化して、光背のつく阿弥陀如来が多いのも特徴です。多くは船の形をした光背や線を円形(放射状に)に並べた光背(放射光背)を持つ像が多いようです。

 ちなみに浄土宗では、舟形光背などの光背を持つ阿弥陀如来(坐像・立像)を本尊とし、浄土真宗では、放射光背の阿弥陀如来(立像)のみを本尊としていることが多いようです。
 浄土真宗の一仏の阿弥陀如来立像の放射光背の線の数は一般に48本で、阿弥陀如来の四十八願を表現しています。実はこの光背が「アミダクジ」の元になっているのです。クジの線が阿弥陀如来の光背に似ているため、阿弥陀籤という名前になったといわれています。

お唱えいたしましょう

阿弥陀如来
① 小呪
  オン・アミリタ・テイセイ・カラ・ウン

② 大呪(阿弥陀如来根本陀羅尼)
  曩謨囉怛曩 怛囉夜耶(ノウボウ アラタンノウ タラヤァヤ) 
  娜莫阿哩野 弭跢婆耶 (ノウマク アリヤ ミタァバァヤ)
  怛陀孽跢夜 囉曷帝 (タタギャタヤ アラカティ) 
  三藐三沒駄耶 怛儞也他唵(サンミャクサンボダヤ タニャタオン) 
  阿蜜㗚帝 阿蜜㗚妬納婆吠 (アミリテイ アミリトウ トバベイ)
  阿蜜㗚多三婆吠 阿蜜㗚多孽陛 (アミリタ サンバベイ アミリタ キャラベイ) 
  阿蜜㗚多悉弟 阿蜜㗚多帝際  (アミリタ シッテイ アミリタ テイゼイ)
  阿蜜㗚多 尾訖磷帝 (アミリタ ビギランティ) 
  阿蜜㗚多 尾訖磷多 誐弭寧 (アミリタ ビギランタ ギャミネィ)
  阿蜜㗚多 誐誐曩 吉底迦㘑 (アミリタ ギャギャノゥ キチキャレィ) 
  阿蜜㗚多 嫰弩枇 娑嚩㘑 (アミリタ ドンドビ ソバレィ) 
  薩嚩 囉佗 娑駄寧 (サラバ アラタ サダネィ) 
  薩嚩 羯磨 訖禮 (サラバ キャラマ キレィ)
  捨乞灑孕 迦隷 娑嚩賀 (シャキシャヨゥ キャレィ ソワカ)

③ 「南無阿弥陀仏」を10回。

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