釈迦如来像は 誕生像, 苦行像,降魔像,説法像,涅槃像などに造形化されることが多いです。その内、降魔像と呼ばれるお姿を絵仏師の戸村寿子さんに描いていただいたのがこれです。
仏さまの識別は「印」
仏像を識別するときに重要なのは手の動きである「印」です。釈迦如来と阿弥陀如来は外観がよく似ていますので、「印」をみてだいたい判断できます。親指とほかの指を使って輪を作っているのが阿弥陀如来、五指がほぼ真っ直ぐなのが釈迦如来です。
そして釈迦が修行している時に邪魔をしようとした悪魔を追い払った姿を表しているのがこの釈迦如来降魔絵図です。右手指を下に向け地面に触れている印を降魔印(触地印)といいます。
伝説によると、釈迦は修行中に悪魔の妨害を受けた時、釈迦は指先で地面に触れて大地の神を出現させ、それによって悪魔を退けたそうです。このため触地印は、誘惑や障害に負けずに真理を求める強い心を象徴します。
お釈迦様は、29歳で出家し、6年間の苦行の末、菩提樹の下で悪魔からの誘惑に負けずに坐禅修行を行い、12月8日に暁の明星をご覧になり、悟りを開いて仏陀となったとされています。つまり、12月8日は仏教の教えが生まれた大切な日なのです。各寺院では、お釈迦様の悟りを称える法要や修行、行事などが執り行われます。
12月8日は成道会
圓應寺では12月8日には「成道会」を執り行っています。平安時代末期に日照りや疫病の流行などによる社会不安の高まり、その際に極楽浄土を願う浄土信仰の貴族や庶民へ浸透しました。この信仰が隆盛するとともに、この法会が仏事として定着してきたのです。
現代における昨今の社会不安、この成道会で魔に打ち勝っていくお釈迦さまの功徳にあやかりましょう。
お唱えいたしましょう
浄土宗の回向文の中にある降魔偈です。
降魔偈
門門 不同 八万四 (もんもんふどうはちまんし)
それぞれに異なる仏教「八万四千」の法門は、
為滅 無明 果 業因 (いめつむみょうかごういん)
「無明」によって生じる「業」を消滅させます。
利剣 即是 弥陀 号 (りけんそくぜみだごう)
利益をむさぼる剣「利剣」を、すぐに弥陀の名前「名号」にもち変えて
一声 称念 罪 皆 除 (いっしょうしょうねんざいかいじょ)
ひと声、念仏を称えるなら、罪はみな除かれます。
八万四千にも及ぶ法門はどれも同じものはないけれども、すべて無明を滅し、煩悩を断つものである。その中にあって仏の宝号を一声称えれば、利剣が煩悩を断じるように罪は皆除かれる、との意。