【特別編】如意輪観音像-空海作

江戸期に圓應寺の塔頭寺院であった「正覚寺」の寺宝の如意輪観音さまを今回は特別編といたしまして取り上げてみたいと思います。

疫病退散ならばやはり如意輪観音さま

新型コロナウイルスの猛威により、疫病退散の祈りが全国の神社仏閣で行われています。

疫病除けの護符でとても有名なもののひとつが延暦寺第十八代座主、元三大師(または慈恵大師良源)さまです。

古くから大師さまの本地仏・「如意輪観音」の化身として、観音様が三十三の姿に変わり人々を救うという法華経の話に基づいて悪魔調伏の力を持っと信じられてきました。

如意輪観音さまと紅蓮華

この如意輪観音さまについて深めて参ります。

種子(種字)はキリーク。
観音菩薩の変化身(へんげしん)の一つであり、六観音の一尊に数えられます。
如意とは如意宝珠、輪とは法輪の略で、如意宝珠の三昧(定)に住して意のままに説法し、六道の衆生の苦を抜き、世間・出世間の(世俗も世俗を離れた世界も)利益を与えることを本意とされます。

如意宝珠とは全ての願いを叶えるものであり、法輪はもともと古代インドの武器であったチャクラムが転じて、煩悩を破壊する仏法の象徴となったものです。
六観音の役割では天上界に住まう皆様を教え導かれる方だそうです。

三昧耶形は如意宝珠(宝の玉で意のままに様々な願いをかなえる宝)、そして最近流行り?のあの鬼滅の。。。紅蓮華(紅蓮。火の形をした花弁を持つ架空の花の名前)をお持ちです。

六臂のお姿 財を護る

特徴はやはり宝珠や法輪、紅蓮華をお持ちのその手でしょう。如意輪観音の手は、たいてい6本になっています。六臂像(ろっぴぞう)といいます。手が6本あり、右足を立てひざしてる像があれば、それは如意輪観音と思っても間違いないでしょう。

ところで、如意輪観音の名前の意味ですが、これは、「自分の意志の如くに法輪を巡らすことができる観音様」という意味を表しています。ですので、如意輪観音は、必ず法輪という仏具を左手に持っています。
この法輪という仏具は、法-教え-を広めるための仏具です。その使い方は、この法輪を持っている菩薩や修行者が投げるだけです。菩薩や修行者が、この法輪を投げると、法輪は勝手に飛んでいき、勝手に教えを広めていく、のだそうです。
また、法輪を飛ばして、衆生の様子を観たりもするのです。まるでドローンですね。
で、それを自分の意志のままに自由に扱えるのが、如意輪観音なのです。

如意輪観音のもう一つの働きは、衆生の財宝を守る、衆生の貧困を取り除き財宝を与える、ことにあります。如意輪観音は、聖観音(観音様の大元です)が、衆生の財宝について瞑想している状態に入った時のお姿なのだそうです。
なので、如意輪観音は、必ずその右手に宝珠を持っています。宝珠とは、宝を生み出す珠のことです。古来より、宝珠はどこにあるのか、或いは、どうやって作るのか、が議論されてきました。が、本物の宝珠を手に入れたものはいないようですね。

ですので、如意輪観音は、衆生に教えを自由に説き、なおかつ、衆生が貧困で困っていたり、財産を守るために困っていたりする者を助ける働きをする観音菩薩なのです。
こういう働きがあるので、如意輪観音は、古くから信仰の対象となったわけです。
金銭的に困っている者や経済不況が荒れ狂う現在の日本には、如意輪観音の活躍が欲しいところですよね。

悪をねじ伏せる座り方

その御姿は、像でも絵画でも、ほとんどが座っている姿をしています。

しかし、他の仏像などのように、結跏趺坐(けっかふざ-あぐらに似た感じ。座禅時の座り方)をしているわけではなく、右足を立てています。いわゆる立てひざをしているわけです。
これが食事時なら、行儀が悪い座り方になってしまいますが、もちろん行儀悪く座っているわけではありません。これには、意味があるのです。

ここからが疫病退散の真骨頂ですね。

この右足を立てた座り方は、悪を打ち伏せる座り方なのです。

いわゆる、「降伏座(ごうぶくざ)」といわれるものです。

座り方は、右足のかかとを左足の足の裏につけます。左足は、あぐらの状態です。

その左足の土踏まずに右足のかかとをつけているんです。

これが、魔を滅ぼす座り方で、ほとんどの如意輪観音像がこの座り方をしています。

これこそが疫病退散のエキスパートたる所以ですね。今こそこの有事に対して如意輪観音さまです。妖怪アマビエさんとも力を合わせます。

尚、その他の如意輪観音の手は、右手に数珠を持ち、もう一本の右手で頬杖をしています。左手は、例の紅蓮華を持つ手と、後ろ手にして身体を支えています。

ご祈願いたしましょう

如意輪観音菩薩
① 小心陀羅尼(心陀羅尼/心中心陀羅尼)
  オン・バラナ・ハンドメイ・ウン
② 大心陀羅尼
  オン・ハンドメイ・シンダマニ・ジンバラ・ウン
③ 根本陀羅尼
  ナウボウ・アラタンナウ・タラヤヤ・ナウマク・アリヤ・バロキテイ・ジンバラヤ・ボウジサトバヤ・マカサトバヤ・マカキャロニキャヤ・タニャタ。オン・シャキャラバリチ・シンダマニ・マカハンドメイ・ロロ・チシュタ・ジンバラ・アキャラシャヤ・ウン・ハッタ・ソワカ

③をとなえるのが難しい方は②を、②を憶えてられなきゃ①をおとなえして経済復旧と疫病退散を皆さまと共にお祈りいたしましょう。

それでも難しいときは「南無如意輪観音」を10回です。

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